金星の日面経過

金星の日面経過(太陽の右下の縁) 2012/6/6 13:35 (JST)
金星の日面経過(太陽の右下の縁) 2012/6/6 13:35 (JST)

 

金星の太陽面通過です。とりあえず、この目で見られたのでラッキー。

埼玉では正午前後と13:30すぎの各数分間、雲の向こうにぎりぎり見えました。肉眼では確認できず、双眼鏡で黒点より大きくくっきりした金星が見えました。カメラで撮影できたのは数枚で、そのうちの一番はっきりわかるものを切り取り、拡大しました。EOS Kiss Digital N、EF-S 60 mm、ND 5.0フィルタ。

昨晩から雨で、朝7時ころも雨。第1接触7:10、第2接触7:28、そのあと昼前までは雨が降っていたのでネット中継を眺めていました。おもに眺めていたのは

しばらくして、雨でも雲間から見えたというつぶやきもあり、太陽の南中時刻を過ぎてだいぶ明るくなってきたので見上げたら、雲の向こうにうっすら太陽が。慌てて双眼鏡(アストロソーラー フィルター)や遮光グラス(日食グラス、溶接用の保護メガネなど)をだして、カメラをセッティングしたのですが、撮影開始前に雲が厚くなって何も写らず。双眼鏡では黒点も見えましたが、金星は真っ黒でくっきり丸かったですね。

その後曇りが続き、雲間から見え始めたのは第3接触の13:30ころ。雲の濃淡が激しく変わったので、カメラの露光がうまくいって金星(らしきもの)が写ったのは数枚でした。第4接触の13:47ころにはすっかり曇っていました。

ネットには数々のすばらしい画像がアップされていますが、それはさておき。

眼がいい人(視力1.0が目安?)だと肉眼(と適切な遮光)で金星が見えたそうですが、私の眼では見えません。大きな「肉眼黒点」がぜんぜん見えないくらいで、しかも今日は雲がかかっていましたから。日食はピンホールで投影するのがお気に入りですが、金星は難しいという情報が流れていました。老眼鏡(度数+1.0)で太陽を1cmに拡大して投影すれば見えるだろうかと思っていたのですが、今回は試す余裕がありませんでした。ツイッターを眺めていたら、実際に老眼鏡で観察された方がいました。

老眼鏡を使えば見えたんですね。

金星の日面経過と一昨日の月食のために双眼鏡に携帯でコリメート撮影の準備もしていたのですが、とてもそんな余裕はありませんでした。次の機会――百年以上先――は、もうありません。黒点をカメラに写す方法を工夫してみるとしましょう。

ところで、ずっと「日面通過」と思ってましたが、報道等では「太陽面通過」を使っています。何となく違和感を憶えていましたが、用語についての解説がありました。

「日面経過」の用語について (国立天文台 相馬充さん)

日面通過じゃなくて日面経過がもともとの専門用語だったんですね。「掩蔽」に対して「経過」を使うのが正しいようです。

(2012/6/6)

部分月食(曇り)

2012/6/4 月食(埼玉)。曇り。

CANON EOS Kiss Digital N で 15 秒おきに撮影したものを、Windows Live ムービー メーカーで、0.05 秒間隔の動画にしたもの。(Windows Media Video)

動画にしたのは初めてでよくわかりません。再生できるといいのですが… m(__)m

食の最大の少し前から、食の終わりの少し前までなんですが、曇ってます。

(2012/6/4) (23:14 若干追記)

アクリル板・遮光板で天体・太陽撮影用にスポーツファインダーを作る(1)

工房 Emerge+ さんで太陽観望用のアクリル遮光板(カナセライト#9787)を扱うとのことで(「太陽を直接撮影できるアクリル遮光版の販売を開始しました! | 工房 Emerge+」)、カメラのスポーツファインダー兼用の遮光板にすると便利かも?と、デザインしてみました。

遮光板の特性は 材料料金表 | 工房 Emerge+ の「アクリル遮光板」のところにあります。日食関係の情報や溶接用の遮光ガラスの規格と見比べると、日食グラスとしては、やや明るめのほうかもしれません。

通常は夜間の星野写真、天体撮影でスポーツファインダーを利用することを前提に、アクリル押出透明2mmA5サイズの板をレーザーでカットしてもらい、視野の枠と、カメラのアクセサリーシューにはめる足を組み立てます。太陽撮影のときは、A5の枠に、A5の遮光板を重ねます。

大きさ・寸法は、EOS Kiss Digital N のセンサ 22.2 mm × 14.8 mm と、EFS 18-55 mm、EF 60 mm に合わせました。高校レベルの三角関数でおおざっぱに計算すると、広角側 18 mm のとき、のぞき穴から枠までの距離が 15 cm で A5 より少し内側になるはずです。

  • 工房 Emerge+ でのレーザーカット用の図面

(この図を使いたい方はご自由にどうぞ。眼や機材への影響などは自己責任ということでよろしく)

アクリル押出 透明 2mm A5サイズ 1枚:¥150
レーザー加工料 A5サイズ:¥1,000 (ガイドライン割引)
アクリル遮光板 A5 サイズ 1枚:¥450
(2012/5/30 現在)

その他、消費税、送料です。別途 M2 や M3 のネジや接着剤、粘着テープなどが必要になると思われます。手持ち・差し替え・検討用にA4の遮光板も発注しました。

カメラのアクセサリーシュー周りの寸法は JIS で閲覧できます。( 日本工業標準調査会:データベース検索-JIS検索

  • JIS B 7101 「カメラの附属品取付座及び取付足」

シューにはめる足は規格上、幅 18.6 (-0.02, -0.2) mm 、厚さ 2 (-0.02,  -0.06) mm なので、 加工の目安は 18.5 mm、厚さ2 mm です。

やすりがけ、すきま埋め、接着剤盛り、粘着テープでぐるぐる巻き、割れて補修がお決まりのコースと思われますが、立体的に寸法間違えた!もありがちです。はたして組み立てられる設計になっているのかどうか。カットされたものが手元に来るまでわかりません(笑)

(2012/5/30)

追記: 組み立て ☞ アクリル板・遮光板で天体・太陽撮影用にスポーツファインダーを作る(2) (2012/6/2)

昴・三日月・金星・木星

月・金星・木星(2012年3月25~27日) の埼玉で撮った写真。

2012/03/25

金星、木星、三日月。2012/03/25 18:48 (JST)、埼玉

2012/03/26

金星、月、木星。2012/03/26 19:25 (JST)、埼玉。

2012/03/27

プレアデス星団(すばる)、月、金星、木星。2012/03/27 19:22 (JST)、埼玉。

星はすばる。ひこぼし。ゆふづつ。(枕草子)

清少納言:「星といえばプレアデス星団(昴)、アルタイル(彦星)、宵の明星(夕星)よね!」(意訳)

私の目では昴はわからず、双眼鏡で位置を確認して、カメラのシャッタースピードを調整しました。昴をうつそうとすると月が露出オーバーになってしまいますね。

ツイッターには皆さんが撮影した写真が流れていました。携帯電話でも撮れたようです。

(2012/3/27)

月・金星・木星(2012年3月25~27日)

2012年3月25日~27日、月、金星、木星、昴(プレアデス星団)が夕方の西の空に並びます。以下、ステラナビゲータ Ver.6.1 で表示した画面のキャプチャです。

まず、日本。

東京(新宿)の位置:東経139度42分、北緯35度41分

東京の夕方6時(日没)の西の空を25日、26日、27日と並べると、

東京、2012/03/25 18:00 (JST)

3月25日の夕方、上から順に昴、金星、木星、細い月が点々と並びます。ただし、昴がわかるようになるのは暗くなる7時ころでしょう。

東京、2012/03/26 18:00 (JST)

3月26日は月が金星と木星の間にはいって目立つでしょう。

東京、2012/03/27 18:00 (JST)

となります。比べると、月が日毎に上の方に移動していくのがわかります。3月20日が春分なので、太陽が沈むのはほぼ真西、18時と考えて差し支えありません。

並びがきれいな3月26日の19時では

東京、2012/03/26 19:00 (JST)

3月27日には月が昴の近くになります。双眼鏡なら同一視野に入るかもしれません(双眼鏡の視野の広さによる)。

いずれの日も高度が高いので、空が真っ暗になった夜7時~7時半くらいが見頃になるでしょう。それくらいの時刻になれば、金星の上のプレアデス星団(すばる)も確認できるようになるはずです。金星はマイナス4.3等ほどになっていて、まさに宵の明星、一番星です。

東京、2012/03/26 19:00 (JST)。火星

同じ頃、東の空では、しし座にいる火星が登ってきています。3月5日に衝で地球に接近したばかりなので、明るく、赤く輝いています。

東京、2012/03/26 19:00 (JST)、星座早見

 

さて、南半球で日本と経度が近いオーストラリアのシドニーでは、天気、見晴らしがよければ見ることができそうです。

シドニーの位置:東経151度12分、南緯33度54分

東京と同じく、太陽が(ほぼ)真西に沈むシドニー時間の18時頃、3月25日、26日、27日を並べると、

シドニー、2012/03/25 18:00 (LST, AEST)、19:00 (AEDT)
シドニー、2012/3/26 18:00 (LST, AEST)、19:00 (AEDT)
シドニー、2012/03/27 18:00 (LST, AEST)、19:00 (AEDT)

となります。日没時の明るいときでも木星と金星の高度は20度足らずです。実際に見えてくるのは少し暗くなる 19:15 (AEDT: オーストラリア東部夏時間)くらいではないかと思いますが、19:30 ころには高度が15度たらずに下がり、20時には10度未満になっています。並びがきれいな3月26日の20時では

シドニー、2012/03/26 19:00 (LST, AEST)、20:00 (AEDT)

となります。高度10度というと、感覚的にはほとんど地平線です。腕を伸ばして握り拳が約10度(指1本が約2度)なので、実際に確かめてみると思いのほか低いことがわかります。シドニーがどんな場所か知りませんが、よほど見晴らしのよい場所を選ばないと、遠くの山・建物・木や、遠くの雲で隠れて星は見えなくなっています。実質、19:15~19:30 の15分間か、19:45 までの30分ほどが見えるかどうかの勝負でしょう。

シドニー、2012/03/26 19:00 (LST, AEST)、20:00 (AEDT)。火星

やはり、東の空には火星が輝いています。

星座早見の形式で眺めると、

シドニー、2012/03/26 19:00 (LST, AEST)、20:00 (AEDT)、星座早見

高い空にカノープス(α Carinae)があります。カノープス、つまり南極老人星ですね。日本や中国では低すぎてほとんど見えないので、見れば長生きできるというおめでたい星です。

ほかには南十字やケンタウルス座アルファ星、ベータ星。南天では、これらの星で天の南極を探し出すそうです。ケンタウルス座アルファ星(Alpha Centauri )は三連星で、C星がプロキシマ・ケンタウリ、太陽から一番近い恒星として有名です。

南天のこれらの星々を眺めておけば、日本の天文ファンに自慢できること間違いなし。私も南半球の星空を堪能したいものです…。

 

日本と緯度が近くて経度が地球の反対側のアメリカ、ニューヨークでは、

ニューヨークの位置: 西経74度0分、北緯40度42分
ニューヨーク 2012/03/25 18:20 (LST, EST) 19:20 (EDT)

3月25日は木星と月が近づきます。図では「木星」の字が細い月で隠されています。

ニューヨーク、2012/03/26 18:20 (LST, EST) 19:20 (EDT)

3月26日は金星と木星が月と近づきます。

このように、同じ北半球でも経度が違うと月の動きが大きいので西の空の惑星との相対位置が異なってきます。

南半球でもオーストラリアより赤道に近いインドネシア、ジャカルタでは

ジャカルタの位置: 東経106度48分、南緯6度12分
ジャカルタ、2012/03/26 18:00 (LST, WIB)

となり、比較的高い位置にあります。シミュレーションで日周運動させると、西の星々がそのまま西に沈んでいくのが不思議な感じです。

 

地球上のどこにいるかによって見えるかどうかは変わってきますが、今年の3月末は、肉眼、双眼鏡で星空を眺める好機です。フリーのプラネタリウム ソフトや星座早見のウェブサービスもあるので、ご自分の緯度・経度、時刻、方角・高度でどのように見えるか確認してから実際の星空を眺めると失敗が少ないと思います。

緯度・経度は Google Maps で位置を特定し、そのページへのリンク(共有用の「鎖」マークのボタン)のURLからそれらしい数字を探し出すのが簡単です。

(「天文年鑑2012」より)

  • 2012年3月20日(火) 14時14分 春分(太陽の黄経が0°になる)
  • 2012年3月22日(木) 23時37分 新月
  • 2012年3月26日(月) 8時59分 月が木星の北3°05′
  • 2012年3月27日(火) 3時22分 月が金星の南1°51′
  • 2012年3月27日(火) 16時44分 金星が東方最大離角(光度-4.4等、視直径23″.5、離角46°0)
  • 2012年3月29日(木) 23時8分 おうし座ζ(3.0等)の星食(潜入)
  • 2012年3月30日(金) 22時32分 ふたご座16(6.2等)の限界線星食(北限界)
  • 2012年3月30日(金) 22時43分 ふたご座ν(4.1等)の星食(潜入)

時刻表記

    • 日本の時刻 ☞ 日本標準時 – Wikipedia
      • JST: Japan Standard Time、日本標準時、中央標準時、UTC+9
    • オーストラリアの時刻 ☞ オーストラリア時間 – Wikipedia
      • AEST: Australian Eastern Standard Time、オーストラリア東部標準時、UTC+10
      • AEDT: Australian Eastern Daylight Time、オーストラリア東部夏時間、UTC+11
    • アメリカの時刻 ☞ 東部標準時 – Wikipedia
      • EST: Eastern Standard Time、東部標準時、UTC-5
      • EDT: Eastern Daylight Time、東部夏時間、UTC-4
    • インドネシアの時刻 ☞ インドネシア時間 – Wikipedia
      • WIB: Indonesian Western Standard Time (インドネシア語: Waktu Indonesia Barat/WIB)、UTC+7
    • LST: Local Standard Time、地方標準時 ☞ AstroArts > 星空ガイド > 天文の基礎知識 > 基礎知識 – 1.時刻と時刻系 (ステラナビゲータ)

(2012/3/17 – 2012/3/18)