タグ: 五神教

  • ビジョルド「影の王国」

    文庫の「発売日」に」購入して読み始めたビジョルド作「影の王国」は一日で一気読みできず、二日目に読み終わりました。上下巻で合計690ページ、2100円です。図書費を抑えて図書館を利用することが多くなったので、痛い出費でした。翻訳コストなどを考えると高くはないんですけどね…。前二作の「チャリオンの影」、「影の棲む城」はおもしろくて読み直したばかりだったので、早く読みたくて読みたくて。何々したい!という感覚がもたらされるのですから、抗うつ剤と思えば安いもの、しかも直接的な副作用がありません。

    「影の王国」は五神教シリーズの第三作ですが、前二作と違って話の続きではありません。400年前にダルサカの帝国に征服され、宗教文化が五神教に上書きされた国のお話です。本の宣伝文句で触れられている獣の精霊は古い異教にかかわるものです。詳しい場所、時代は不明ですが、ヒロインの実父がチャリオンの御子神騎士団の信卿だったので、前二作と比較的近い地域にあるのでしょう。

    原作では様々な造語が登場しているようで、鍛治靖子さんの翻訳ではほとんどが漢字で造語しなおされています。そこまでやるなら、人名や地名も漢字にしちゃってよ…と思わなくもありません。カタカナでも、主人公のウルフクリフ氏族:狼崖、従兄弟のホースリヴァ氏族:馬川くらいは、お互いに冗談っぽく狼卿、馬卿などと呼び合ったりするので簡単に見当がつきますが、バジャバンク氏族の badger が穴熊なんてのは気がつきませんでした。聖王のスタグソーン氏族の stag 鹿も難しめですが、ソーンは意味も綴りも見当つかず。

    読み終わってから綴りを調べようとググったら、こんなサイトがありました。

    下の方に People/Characters や Important places という項目があります。国璽尚書はSealmaster、英語だとどういう語感なんでしょうかね。学師は Learned でした。なるほど、漢字だとかっこいい。
    (ちなみに ☞ 英国の 国璽尚書 – Wikipedia: Lord Keeper of the Great Seal)


    以下、文庫版カバーや見返しにならって登場人物などを挙げておきます。(ネタバレ注意

    イングレイ・キン・ウルフクリフ
    Ingrey kin Wolfcliff
    国璽尚書の配下
    (Wolf – cliff :狼 – 崖)
    本書主人公。14歳で狼の精霊に憑かれた。
    イジャダ・ディ・カストス
    Ijada dy Castos
    ファラ王女の侍女
    ボレソを殺害、そのとき豹に憑かれた。母方がバジャバンク氏族で森を相続。badger:穴熊。実父はチャリオン人で御子神騎士団の信卿
    ヘトワル卿
    Sealmaster Lord Hetwar
    国璽尚書
    ビアスト・キン・スタグソーン
    Prince-Marshall Biast kin Stagthorne
    聖王の第二王子
    元帥
    (Stag – thorn e : 牡鹿 – 荊の棘)
    ボレソ
    Prince Boleso kin Stagthorne
    聖王の第三王子
    イジャダに殺された
    ウルクラ
    The late Prince Boleso’s housemaster, Rider Ulkra
    ボレソの家令
    いまは亡きボレソ王子の家令ウルクラ駈士
    ウェンセル・キン・ホースリヴァ
    Wencel kin Horseriver
    氏伯、選帝卿。イングレイの従兄弟
    (Horse – river:馬 – 川)
    ファラ
    Princess Fara
    聖王の王女。ウェンセルの妻
    ゲスカ
    The troop’s lieutenant, Rider Gesca
    イングレイの副官
    副官のゲスカ駈士
    ハラナ
    Learned Hallana
    庶子神教団の魔術師神官 a sorceress-divine of the Basterd’s Order にして、母神教団の医師神官  a physician-divine of the Mother’s Order。イジャダの友人。サトリーフの母神学舎で教鞭をとる
    オスウィン
    Learned Oswin
    ハラナの夫。父神教団の神官
    レウコ
    Learned Lewko
    庶子神教団の神官
    クムリル
    The Temple sorcerer, Cumril
    神殿魔術師
    イングレイに魔を憑かせた
    ジョコル
    Prince Jokol
    南の島の王子
    オトヴィン
    ジョコルの副官
    ベルナン
    Bernan
    ハラナの下男
    ヘルギ
    Hergi
    ハラナの使い女
    インガレフ・キン・ウルフクリフ
    Lord Ingalef kin Wolfcliff
    イングレイの父。故人
    老カスグト・キン・ウルフクリフ氏伯のもとでバーチグローヴ城の城主だった。 (birch:樺)
    アウダル大王
    400年前、ウィールドを征服。その150年後、巨大帝国は分裂
    ダルサカ
    Darthaca
    アウダル大王のダルサカ軍は、ウィールドの東から侵攻した
    ウィールド
    Weald
    物語の舞台となる地域(国)
    東都
    Easthome
    ウィールドの首都
    聖樹
    Holytree
    サトリーフ
    Suttleaf
    レッドダイクから25マイルほど南。母神学舎があり、医師や治療士の訓練所として有名
    リードミア
    Reedmere
    イングレイとイジャダが川で溺れた後泊まり、第四章冒頭で出立した人口数千人の町。reed:葦。mere:池、湖
    自由都市レッドダイク
    The royal free town of Red Dike
    ハラナがイングレイを祓った町。dike:堤防
    ヘルムハーバーの神殿
    庶子神教団。かつてハラナが医師として働き、魔にまたがることになった。

    (2012/11/23)

    一部加筆 (2012/11/24) (2012/11/28)

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