- 「11月12日放送 | これまでの放送 | スーパープレゼンテーション|Eテレ NHKオンライン」 http://www.nhk.or.jp/superpresentation/backnumber/121112.html
- Neil Harbisson ニール・ハービソン、”I listen to color” 「色が聞こえる」
ニール・ハービソンは生まれつき色が見えないのですが、色を和音で聞くことができます。人工的な共感覚みたいなものでしょうか。装置名は”eyeborg”。額の上にあるカラーセンサーから、一定の規則で色が周波数に変換されます。音は骨伝導で伝わるので、耳は耳でちゃんと聞こえるということです。引き替えではなく拡張になっています。赤外線や紫外線まで「見える」のはわくわくしそうですね。
ニール・ハービソンが音楽を学んでいるときにコンピュータ科学者のアダム・モンタンドン出会い、他の人々も参加、色が聞こえるようになり、「サイボーグ基金」も設立しています。スーパーの売り場は色≒音にあふれているんだそうです。プレゼンテーション登場時の服装は、シャツがブルー:ド、ジャケットがピンク:ミ、ズボンが黄色:ソ(低音)で、Cメジャーの和音。葬式には、ターコイズ(青):シ、紫:レ、オレンジ:ファ# でBマイナーの和音。聞こえるだけでなく、表現もするようになりました。彼は色から音、音から色への変換でアーティストとして活動しています。
解説のJoiことMITメディアラボ所長の伊藤穰一曰く、携帯電話もサイボーグのようなもの、Full-Time Intimate Community とのこと。
サイボーグという言葉、どきどきしますね。高機能なメガネのようなものですから、人工器官なのに非侵襲性というのも魅力的です。この装置の場合、色と音のマッピングを表す式をいじると別の色・音になってしまうのが、実用上の難点かなと思います。センサやアンプも校正しておかないと、修理やバージョンアップのたびにいろと色と音との対応が崩れます。これらの点が、汎用性という面で引っかかります。どうしても工学的な視点で考えてしまいますね。アートとしてはよいのですよ。
番組を見ていて思い出したのですが、視覚障害を補助する装置ということでは、カメラ画像を額(おでこ)に電気刺激で投影する装置があります。その名も「オーデコ(AuxDeco)」。「額感覚認識システム:Forehead Sensory Recognition System (FSRS)」というそうです。
- 「株式会社アイプラスプラス | ~視覚障害者用生活支援システム~」 http://www.eyeplus2.com/
物を思い浮かべるときは無意識に額の方向に投影しますから、なるほど、目から鱗。
ところで、この番組は教育テレビの語学番組でもあります。サイトにスクリプトが載っていたので、聴きながら読んでみました。いや~、ぜんぜん聞き取れてませんね。視聴中には気がつかなかったのですが、NHKの字幕も要約になっていました。字幕を見ながら聞いていると、概ね聞き取れている気がしてしまうのですが……。とはいえ、ハービソンさんのプレゼンテーションは聞き取りやすい言い回しと発音をしているのは確かです。
(2012/11/17)